今年(2018年)、結成20周年を迎えたthe band apart
これを記念して、初のトリビュートアルバム『tribute to the band apart』がリリースされました。彼らに縁のある多彩なアーティストが参加しています。
カバーを通して、バンアパの魅力を改めて感じ、そして参加アーティストの魅力を知ることもできます。
めちゃくちゃ聴きごたえがあったので、レビューという名の感想を紹介します。
the band apart 『tribute to the band apart』全曲レビュー(感想)
- fool proof / cinema staff
- Snowscape / KEYTALK
- higher / FRONTIER BACKYARD
- beautiful vanity / LOW IQ 01
- Can’t remember / ストレイテナー
- I love you Wasted Junks & Greens / ゲスの極み乙女。
- Moonlight Stepper / ASPARAGUS
- 明日を知らない / 坂本真綾
- 泳ぐ針 / tricot
- ピルグリム / 八十八ヶ所巡礼
- 禁断の宮殿 / 吉田一郎不可触世界
- 月と暁 / HUSKING BEE
fool proof / cinema staff
・イントロやAメロ、アウトロに繊細なギターのアルペジオ
・所々にシネマ特有の重みのあるサウンドでリフが入る
・2回目のBメロ前は原曲とは全く違ったアレンジでシネマ感全開
・原曲のサビはシンプルなドラムだったのが、手数が多めにアレンジされていて激しい
・飯田さんが歌うと、演奏が激しくても優しい感じになる
シネマも好きな僕にはめちゃ良いカバーでした。全体的に勢いのある曲ですが、原曲のメロコアっぽい雰囲気に爽やかさがプラスされた印象です。
「Eric.W」のライブ映像をきっかけに飯田さん(Vo/Gt)がバンドをやりたいと思い、最初に手に入れたのが1st シングル「FOOL PROOF」だと公言しています。
ステージの立ち位置でギターが真ん中になるのもバンアパの影響だそうです。
cinema staffが地元・岐阜で行った自主企画「OOPARTS 2014」にバンアパが呼ばれていることからも、シネマのバンアパに対するリスペクトを強く感じますね。
cinema staff Official Web Site
Official YouTube Channel 「cinemastaffchannel」
Snowscape / KEYTALK
・原曲ではシンプルなリードギターだったが、よりお洒落なフレーズで武正さん(Gt)節が出まくる
・2回目のサビ前にあるA~Bメロがハーフテンポでふわっとしたアレンジになっていてお洒落、歌と掛け合いながらも自由すぎるリードギターが最高
・間奏で速度感上げてくる感じとアウトロのギタータッピングがKEYTALK感半端ない
1回目のイントロ~Bメロで「単純なコピーかな?」って思って聴くと危ない、2回目のAメロ終わりから徐々に武正さんのギターが炸裂してくる。ちょこちょこ入れてくるフレーズが最高にお洒落で格好良い。武正さんが楽しそうにギター弾いてるのが目に浮かびそう。
全体的なアレンジは、メジャーデビュー前のKEYTALKって感じで急に曲の雰囲気を変えるのが特徴ですね。個人的には面白くてかなり好きです。
武正さん(Gt)と八木さん(Dr)がバンアパの影響を受けているそうです。
higher / FRONTIER BACKYARD
・シンセで原曲のギターフレーズを再現
・アレンジで入ってくるピアノのフレーズが綺麗
・最後サビ前のブレイクで、バンアパのライブではお馴染みの「ワン、ツー」の掛け声が入ってる
Bメロのカッティングで音を詰めてから、サビでゆったりとした広がりを感じさせるバンアパとは違って、FRONTIER BACKYARDは、BメロがAメロの延長のように繋がる。そして、サビで少しノリノリになるようなドラムパターンとベースラインを使ってアレンジしている。
曲の構成を変えたりといったことはなく原曲に忠実ですが、ギターフレーズが別の楽器で再現されていたり、打ち込み感があったりすることで、この曲を新しい視点で聴けてめちゃくちゃ良いです。
FRONTIER BACKYARDはバンアパの先輩で、友達のような仲の良さだそうです。
YouTube 「FRONTIER BACKYARD」検索結果
beautiful vanity / LOW IQ 01
・最初のベースがスラップになっている
・Aメロをスカっぽいリフでアレンジ
・イントロから弾かれているリードギターが難しいフレーズになっている
スカの要素が取り入れられていることを除くと、かなり原曲に忠実ですが、原曲の持つ”静と動”がなくなり、常に元気な印象の曲になった気がします。
Can’t remember / ストレイテナー
・1回目のサビ後とアウトロの演奏がめっちゃ心地よい。特にひなっちのベースが気持ち良い
・2回目のサビは間奏から続くドラムパターンで勢いがあるが、途中から1回目のサビと同じ演奏に戻ることで、エモさが増す
・ギターは比較的原曲に忠実ですが、OJの丁寧なフレーズが際立つ
同じく今年結成20周年のテナーのアレンジは堪らなく格好良いです。原曲もエモいので、テナーにめちゃくちゃ合ってると思います。ドラムパターンで雰囲気を変えるのが特徴的ですね。原曲を知らずに聴いた人は、テナーの曲だと思ってしまうんじゃないかってくらい良いです。
YouTube Channel 「StraightenerVEVO」
I love you Wasted Junks & Greens / ゲスの極み乙女。
・キーボードとアルペジオが良い雰囲気を出している
・間奏めちゃくちゃ荒ぶってる
・原曲とは違い疾走感がなくなっている
歌メロ以外はもう別の曲ですね。Aメロ始まるまで何の曲かわからないレベル。どこにも着地せずに浮遊しているような不思議な感覚になるアレンジですが、これは面白いです。
ゲスの極み乙女。Official YouTube Channel
Moonlight Stepper / ASPARAGUS
・雰囲気の良いアルペジオでアレンジ
・ギターソロが格好良い
「なんかいいな」って思えるアレンジですね。バンアパと仲の良いASPARAGUSだからなのかもしれませんが、原曲の心地よさはそのままにASPARAGUSの良さが溢れていると思います。
3P3B official website-ASPARAGUS
明日を知らない / 坂本真綾
・アコギと歌声がマッチしている優しい雰囲気
バンアパの荒井さんが「坂本真綾さんにこの曲差し上げます」と言っている記事をどこかで見たんですが、ほんとに坂本真綾さんの曲で良いんじゃないかってくらいハマってますね。休日にゆっくり聴きたくなります。
坂本真綾20周年記念トリビュートアルバム REQUESTに「約束はいらない」という曲でバンアパが参加していたり、バンアパが「Be mine!」という楽曲を提供していたりと繋がりがあります。「Be mine!」はアニソンですが、コード感やフレーズにバンアパ感があり、かっこいいです。
*- Official web site 坂本真綾 【I.D.】-*
泳ぐ針 / tricot
・声と音作りが曲にマッチしている
・サビのギターのエフェクトとフレーズが最高
これはもうtricotの曲でいいんじゃないでしょうか。正直、原曲よりもワクワクして聴いてしまいました。予測できない変化が格好良すぎて、ニヤけてしまうくらいです。もしかしたら、tricot × バンアパのコラボは最強かもしれません。もっと聴いてみたい。今後、tricotへの楽曲提供があったらいいなって思います。
「普通の曲はもういいんだよ」みたいな変わった曲が好きな人は、まずこれを聴きましょう。
YouTube「tricot Official Channel」
ピルグリム / 八十八ヶ所巡礼
・リードギターのメインフレーズが激しくなって、ソロはピロピロ
八十八ヶ所巡礼が真面目にカバーしていることに驚きました。意外です。もっと変化球で来ると思っていたのですが、原曲の爽やかさを残していて逆に面白いです。ギターのエフェクトが八十八ヶ所巡礼とマッチしているから、この曲を選んだのかもしれませんね。
禁断の宮殿 / 吉田一郎不可触世界
・ふわっとしたシンセと打ち込み
・スローテンポ
・笑いながら歌ってる?所あり
「禁断の宮殿 / 吉田一郎不可触世界」のタイトルだけでインパクトがあります。お洒落な感じではなく、灰色の世界が目の前に広がりそうなアレンジ。原曲が思い出せなくなるくらい別の曲になっています。
月と暁 / HUSKING BEE
・ハムバッカーっぽい重みのあるギターサウンド
原曲に忠実だけど、HUSKING BEEらしいロックなサウンドでアレンジ。元気にしてくれる格好良さ。バンアパも良いですが、HUSKING BEEのほうがこの曲ハマッてるかもしれません。
まとめ
参加アーティストから、バンアパの幅広い音楽性と影響力が感じられましたね。
バンアパの曲は、難しいコードや印象的なフレーズを使っていて、既に完成しているイメージでしたが、各アーティストの個性溢れるアレンジがしっかりと主張されていて、ワクワクします。
どれも良かったですが、個人的なおすすめは「泳ぐ針 / tricot」、「Can’t remember / ストレイテナー」です。
バンアパへのリスペクトが溢れる素晴らしいアルバムだと思いますので、気になった方はぜひ聴いてみてください。